NFTを購入するための手続きは複雑で、慣れていないユーザーにとっては難解だ。まず、暗号資産取引所の口座を開設した上で、暗号資産を手に入れる必要がある。次に、暗号資産ウォレットをセットアップし、暗号資産を移し替えるのだ。このように、NFTの購入にはいくつものステップが待ち受けている。
そこで昨今では、マス層のユーザーをターゲットとした簡易的なNFTマーケットも登場し始めている。これらのサービスでは日本円による決済も可能で、トークンや暗号資産ウォレットを必要としない。そのため、誰もが手軽にNFTを購入できるのだ。
このようなマス層向けのブロックチェーン事業に力を入れている企業が、LINEヤフー傘下のLINE NEXTとLINE Xenesis株式会社(東京都品川区)だ。LINE Xenesisでは「LINE NFT」や暗号資産取引所の「LINE BITMAX」など、初心者にとっても扱いやすいサービスを展開してきた。メッセンジャーアプリの「LINE」が起点となっているため、多くの日本人にとって馴染み深い存在だ。
これらのサービスとは別に、LINE NEXTは2022年9月より「DOSI(ドシ)」というグローバルNFTプラットフォームのベータ版を提供してきた。そして、LINE NFTのサービスを終了し、2024年1月からDOSIへ一本化すると発表したのだ。またLINE NEXTは、2023年12月に1億4000万ドルの資金調達を発表している。この原資を活用して、今後DOSIの経済圏をさらに拡大していくようだ。
日本で親しまれたLINE NFTを終了しDOSIへと統合する今回の動きには、どのような狙いがあるのか。またDOSIへの移行によって、何が変わるのか。
このDOSIの事業を率いるのが、LINE NEXTで日本事業の責任者を務める米山 裕介氏だ。伝統的な金融の世界である資産運用会社でキャリアを形成した後に、ブロックチェーン領域への挑戦を決意した人物である。米山氏曰く「ビジネスの現場にブロックチェーンを導入すると、新たな価値が生まれる」という。DOSIは単なるNFTプラットフォームではなく、法人の事業基盤として活用されるそうだ。実際に、スクウェア・エニックスが提供する人気のNFTデジタルシール「資産性ミリオンアーサー」のプラットフォームとしても採用されている。DOSIがビジネスの現場に導入されると、どのような変革がもたらされるのか。
今回は、米山 裕介氏へ、同社のグローバルNFTプラットフォーム「DOSI」を中心として、以下の項目について聞いた。
ブロックチェーン技術を導入する場合、多くの事業者は既存のプラットフォームを活用する。ただ、事業用途のブロックチェーンがどのようなものなのかは、なかなか想像できないであろう。そのような中で、事業者向けのグローバルNFTプラットフォームを提供する同社の取り組みから、ブロックチェーン導入に向けたヒントを得られるはずだ。
ーLINE株式会社(現LINEヤフー)のブロックチェーン事業について、概要をお聞かせください。
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