web2型のインターネット社会では、プラットフォームの運営者が大きな影響力を持っている。なぜなら、プラットフォーム事業を通じて蓄積される膨大なデータがビジネスを有利に運ぶからだ。これに対してブロックチェーンの世界では、特定のプラットフォームではなくユーザー自身がデータを保有する。そのため従来のようなプラットフォーム事業が、大きな転換点を迎える可能性がある。
このような状況で、ブロックチェーン領域に挑戦するプラットフォーム運営者がDMMグループだ。合同会社DMM.comのグループ会社である「株式会社DM2C Studio(東京都港区)」では、デジタル空間における新たな経済圏を構築しようと取り組んでいる。このweb3プロジェクトの名が「Seamoon Protocol」だ。独自トークンを通じて、法人にとっての事業基盤となるエコシステムを創り出そうとしている。
web3の台頭は、プラットフォーム運営者であるDMMグループにも影響を及ぼすかもしれない。そこでDMMグループでは、環境の変化に対応するためにブロックチェーンによるエコシステムの構築に乗り出した。また同時に、web3を次のDMMグループにおける屋台骨にまで育てようとしているという。DMM.comの経営トップである亀山会長も、Seamoon Protocolに大きな期待を寄せているというのだ。一体、同社はブロックチェーン事業において、どのようなビジョンを描いているのだろうか。
この株式会社DM2C Studioを率いるのが、代表取締役CEOの加嵜 長門氏である。プライベートでもハッカソンに参加するなど、エンジニアとして技術面からブロックチェーンに携わってきた人物だ。加嵜氏曰く「エコシステムを設計するにあたり、古典的な学問にも目を向ける必要がある」という。デジタル経済圏を構築する際は、金融の歴史など過去の知見が求められるようだ。果たして、Seamoon Protocolはどのような設計思想によって生まれたのか。
今回は、株式会社DM2C Studio 代表取締役CEOの加嵜氏へ、同社のweb3プロジェクト「Seamoon Protocol」を中心として、以下の項目について聞いた。
大手企業であるDMMグループは、ブロックチェーン領域にどのような期待を寄せているのか。DM2C Studioの取り組みを通じて、web3に参入すべき理由を見つけられるはずだ。
ーまず、株式会社DM2C Studioの概要について、お聞かせください。
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