暗号資産やNFTは、一般のユーザー層にはそれほど浸透していない。SBI金融経済研究所の「次世代金融に関する一般消費者の関心や利用度に関するアンケート調査」によると、日本で暗号資産に投資した経験を持つ人の割合は、9.3%に留まっている。なぜならWeb3への参入障壁は高く、秘密鍵の管理などの面倒事を乗り越えなければならないからだ。従って、一般ユーザーを巻き込んだWeb3人口の増加は発生しづらい状況にある。Web3を大衆にまで普及させるには、誰もが簡単に使いこなせる仕組みづくりが不可欠だ。
このような背景から、ブロックチェーンのマスアダプション(大衆化)に向けて、多くのWeb3ベンチャーが開発を加速させている。Web3のマスアダプションに向けた仕組みづくりは、今後の大きなビジネスチャンスと言えるであろう。こうした中、日本でもWeb3の大衆化に向けて奮闘する企業がある。法人向けにWeb3施策を提供する企業「株式会社SHINSEKAI Technologies(東京都渋谷区)」だ。
誰もが簡単に使いこなせるブロックチェーン環境を提供し、企業のWeb3施策を後押ししている。特に着目すべき点は、自社でDAOを設立しWeb3人材の育成に乗り出している点だ。Web3業界では、コミュニティ運営など属人性の高い能力が求められる。それにも関わらず、どのようにして人材育成の手法を確立できたのか。
今回は、同社のCOO 加藤 貴一氏へ「Web2.X SHIFT」に向けた戦略を中心として、以下の項目について聞いた。
企業におけるWeb3施策を牽引する読者にとって、マスアダプション戦略に関するヒントを得られるであろう。
株式会社SHINSEKAI Technologies COO 加藤 貴一氏
ーまず株式会社SHINSEKAI Technologiesの事業内容について、お聞かせください。
加藤氏:SHINSEKAI Technologiesでは、企業のWeb3進出を包括的に支援しています。
Web3は革新的な技術として注目を集めているものの、一般ユーザーへの普及には長い年月が必要でしょう。そのため今後の数年間は、Web3に向かう過渡期として「Web2.X」の時代が訪れるはずです。そこでSHINSEKAI Technologiesでは「Web2.X SHIFT」と銘打ち、社会のWeb3移行に向けた解決策を提供しています。
ー株式会社SHINSEKAI Technologiesの創業背景について、お聞かせください。
加藤氏:創業の理由は、今後の社会においてWeb3やファンコミュニティが重要な役割を果たすと確信したためです。
現代のインターネットでは、ユーザーのプライバシーを保護する風潮が世界的に加速しています。これにより企業は、ユーザー情報に基づいた従来型のプロモーションを展開しづらくなりました。このような経緯から、代替手段としてインフルエンサーを起用したマーケティングが脚光を浴びました。しかしインフルエンサーマーケティングは再現性に乏しく、費用対効果の算出も困難です。加えて、インフルエンサー側に支払う広告料も急騰しました。このような理由から、インフルエンサーマーケティングも限界を迎えつつあります。
この閉塞感を打開する手法が、ファンコミュニティを中心としたマーケティングです。このファンコミュニティは、Web3文化と高い親和性があります。そのため今後のビジネスにおいては、Web3を中心としたコミュニティ運営が不可欠となるでしょう。これらの予測を元に、Web3事業に特化した企業「株式会社SHINSEKAI Technologies」が誕生しました。
「NFT×写真」のゲーム!GALLUSYSのSNPIT(スナップイット)とは?
NFTによる参加型の街づくり!東急の「SHIBUYA Q DAO」とは?
商業利用できる!ディー・エル・イーのWeb3プロジェクト「鷹の爪団NFT」とは?
日本発のブロックチェーン!Astar Foundationがアジア市場に注力する理由とは?
Web3と規制・政策の「いま」と「これから」 元当局者・クエストリー内田氏が読み解く国家戦略の行方
レイヤー2「INTMAX」とは?真の金融インフラを開発する日置玲於奈氏の展望に迫る
ログイン
新規登録(無料)