GAFAに代表される従来のインターネットサービスは、ユーザーからさまざまな情報を取得し、活用している。これには年齢や性別、居住地の他に、検索履歴や交友関係などの情報も含まれる。これらのプライバシーに関わる情報を広告発信等に活かしているため、GAFAのようなテック企業は高い競争力を維持できるのだ。
しかし、時代の流れは変わりつつある。プライバシー保護に対する意識の高まりとともに、徐々にユーザー情報の収集を規制するルールが登場し始めたのだ。加えて、プライバシーを重視した新しいインターネットサービスも脚光を浴びている。このような事業環境の変化により、従来型のインターネットサービスは大きな転換点を迎えようとしている。
またWeb3の台頭も、プライバシー保護の風潮と無関係ではない。ブロックチェーン上のサービスは暗号資産ウォレットとの接続だけで利用できるため、個人情報を事業者に提供する必要がないのだ。高い匿名性を誇るため、Web3は次なるインターネットサービスの基盤になりうるとして注目を集めている。
このWeb3の特徴を活かし、マス層向けの暗号資産ウォレットを普及させようと取り組んでいるスタートアップが存在する。株式会社UPBOND(アップボンド)(東京都渋谷区)だ。UPBONDでは、暗号資産ウォレットを通じて「自己主権型ID」を推し進めようとしている。この「自己主権型ID」を活用すると、ユーザーが自身の個人情報を完全にコントロールできるのだという。結果として、プライバシーを保護した形で、より質の高い顧客サービスを受けられるのだ。
UPBONDのウォレットサービスには、すでに多くの導入事例がある。ゼネコンや百貨店を始めとしてさまざまな企業との提携が実現しており、ユーザー数も増加中だ。UPBONDでは、一体どのようにして各社とのタイアップを進めてきたのか。
この株式会社UPBONDでCEOを務める人物が、水岡 駿氏だ。アメリカへの留学や中国での起業を経験してきた人物であり、次なる挑戦の舞台としてWeb3領域を選んだという。水岡氏曰く、UPBONDは単に暗号資産ウォレットの普及だけを目指す企業ではないという。水岡氏が描くのは、暗号資産ウォレットを軸にした新たなマーケティングの仕組みだ。果たして、どのようなビジョンを描いているのであろうか。
今回は、同社のCEO 水岡 駿氏へ株式会社UPBONDのウォレットサービスを中心として、以下の項目について聞いた。
※1 インターオペラビリティ・・・相互運用性。異なる組織やシステムの間で、相互に連携できる仕組みを指す。
Web3は、単なる先端技術に留まらない。既存の仕組みを変えるほどの大きな可能性を秘めているのだ。ブロックチェーン技術の活用を目指す読者にとっても、Web3がもたらす社会的な影響に関心を持っていることだろう。この疑問に対して、UPBONDの取り組みは大いに参考となるはずだ。
株式会社UPBOND CEO 水岡 駿氏
ーまず、株式会社UPBONDの事業内容について、お聞かせください。
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