「日本から世界展開しやすいWeb3」 NFTの先駆者・DJT代表の満足氏に聞く

プレイ中に得られるNFT(非代替性トークン)のアイテムを取引すると暗号資産が得られることから「Play to Earn」(遊んで稼ぐ)というフレーズとともに近年注目を集めているNFTゲーム。その黎明期にサービスを開始した代表的タイトルの1つ「My Crypto Heroes」の開発元であるdouble jump.tokyo株式会社は、ゲーム開発と、そこで得た知見をもとにしたコンサルやツール提供を手がける企業だ。海外にも積極展開する同社の取り組み、さらにいまNFTを取り巻く環境への見解について、202210月から国内部門のトップを務める代表取締役CTOの満足 亮氏に聞いた。

「ここまでNFTが流行るとは」

double jump.tokyo株式会社 代表取締役CTO 満足 亮氏

−NFTゲームの“古参勢”には説明不要の「My Crypto Heroes」(以下「マイクリ」)を、2018年11月にリリースした貴社の概要を、あらためて簡単にご紹介ください。

当社はブロックチェーンゲームの開発を目的に20184月に設立された会社で、同年7月に入社した私は、マイクリをはじめとするいくつかのゲーム開発に携わってきました。私たちの従業員数は現在、開発者中心に約100人で、この業界で最多規模と自負しています。

創業者であり、現在も代表取締役である上野広伸は、日本のゲーム業界にとって新たな可能性がある領域が「VR」「ブロックチェーン」のいずれかだと考え、このうち開発費や、先行する海外の競合が相対的に少ないブロックチェーンに賭けることを決めました。そこに、かつて部下だった私も合流したというのが、創業当時の経緯です。

創業から半年余でリリースしたマイクリは、誰でも参加できる主要なブロックチェーンネットワークのEthereumで従来例がなかった、多人数同時参加型RPGとして熱狂的なファンに恵まれました。NFTゲームとして世界最多のアクティブユーザー数を記録したほか、NFT全体の取引件数でも、金融関連の用途が急拡大した2020年までは「世界1位」のサービスだった実績があります。

その後はマイクリのシステムと既存の著名タイトルを融合したNFTゲームの共同開発や、他社タイトルのゲーム制作支援などを手がけてきましたが、今後の私たちの事業と深く関わるゲーム特化型ブロックチェーン「Oasys」の運営元がシンガポールにある関係上、さる10月に設立した現地法人の代表を上野が兼ねることとなり、これに伴い国内のゲーム事業を統括することとなった私が、2人目の代表取締役に就任しました。

− NFTの隆盛を先取りした貴社では、いまのNFT市場をどうご覧になっていますか。

「ここまでNFTが流行るとは思っていなかった」というのが正直なところです。

もともと私たちは、「NFTという技術がいずれ社会全体に受け入れられるとしても、当面の使い道はゲームくらいしかない」という認識でいました。実際、ブーム直前の20211月までは社内でも、「一般の人に伝わらないNFTという用語を使うのをやめてはどうか」と、真剣に議論していたほどです。

結果として「話題になる前からNFTをやっている」立場になった私たちですが、投機的な思惑も絡みながらNFTが突然注目を集めだしたり、またリアル世界との接点を探る動きがここまで活発になったりといった展開は、全く想定していませんでした。

ただ一方、暗号資産取引所のFTXが昨年11月に破綻した後も、私たちの事業には目立った影響が出ていません。良くも悪くも、暗号資産に関連する話題は振れ幅が大きくなりがちですが、少なくともNFTゲームは今後数年、着実に伸ばしていける分野だと考えています。

−NFTゲームの開発元として、貴社の強みはどこにあると思われますか。

Oasysや国内大手のゲーム会社と協力しながら、ゲームに特化したブロックチェーンや、それに乗せるゲームを早くから開発してきた私たちは、ゲームという専門分野に限らず、「どうやって独自トークンを発行するか」といったNFTの汎用的な知見を提供できるのが強みと考えています。

ブロックチェーンゲームはNFTの数ある応用分野の1つに過ぎないものの、NFTの具体的な活用に関する実績や知見を、いま最も豊富に持つ領域であることは間違いありません。楽しんで遊べることが第一のゲームは投機目的が過熱しづらいのもメリットで、ゲームを事業の中心に据える私たちは引き続き、NFT市場の健全な成長の一端を担えると思っています。

技術面と同等以上に、事務的な部分、例えば「会計基準が未整備のトークンを発行しても会計監査に影響を及ぼさない方法」といった、私たちが持つ法規制対応のノウハウも、NFTに関心を持つ企業に貢献できると考えています。

 

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