ブロックチェーン技術の実用化は現在、デジタルデータに資産価値を持たせる暗号資産やNFTの分野が先行している。
非中央集権的にデータを分散管理できるブロックチェーンの潜在能力は決してそれだけにとどまらないものの、いざ社会実装となると実績豊富な既存技術を置き換えるに至らないという、ある種の「イノベーションのジレンマ」に直面する例も少なくないようだ。
ただ一方では、ブロックチェーンが実社会に“刺さる”用途が、徐々に明らかになりつつあるとの声もある。
このうち、NTTの研究所が有する知見と社外の広範な技術・サービスを掛け合わせた価値提供をミッションとし、ブロックチェーン関連の開発実績も多数重ねてきたNTTテクノクロス株式会社(東京都港区)の担当者に見解を聞いた。
デジタルトランスフォーメーション事業部 営業部門 マネージャー 杉本 かなえ氏(写真左)、同事業部 第一ビジネスユニット 統括マネージャー 宮崎 泰彦(写真中央)、同事業部・ユニット マネージャー 唐澤 光彦(写真右)
−まず、本日お集まりいただいたお三方の担当業務と、ブロックチェーンとの関わりについてお聞かせください。
宮崎 泰彦 氏(デジタルトランスフォーメーション事業部 第一ビジネスユニット 統括マネージャー):当社では現在、およそ10人でブロックチェーンに関するシステム開発を行っており、私はこの開発チームの責任者を務めています。
もともと当社は、NTTの研究所で生み出された最先端の技術を実社会で利用しやすいソリューションとして開発して提供することを主要なミッションの一つとしており、私自身も2017年、研究していたブロックチェーンの実用化を見越して、NTTの研究所から当社に移籍してきました。
唐澤 光彦 氏(同 マネージャー):当社の前身のNTTソフトウェア時代に着手した2015年以来、当社ではNTTの研究所と共同でブロックチェーン開発を続けており、私は開発業務のマネジメント担当として2016年に合流後、現在はブロックチェーン技術の対外的な営業・プロモーションを担当しています。
杉本 かなえ 氏(同事業部 営業部門 マネージャー):当社の組織構造として 、我々の事業部内にはDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する業界別に、5つのビジネスユニットがあります。
私は現在、ビジネスユニット間で連携し業界を横断して営業活動を実施しています。
現担当の直前までは、公共交通機関の運行管理システムなどを提供する「第二ビジネスユニット」に所属し、多様な交通手段をITでシームレスにつなげるMaaS(Mobility as a Service)関連事業に携わっており、その中でブロックチェーンを応用した実証実験に加わりました。
−ブロックチェーンの開発チームが置かれている「第一ビジネスユニット」は、主に金融機関向けのシステムを開発している部署だそうですね。
唐澤氏:はい。これはもともと、ブロックチェーンが「フィンテック」という文脈で注目されだした経緯によるものですが、現在は金融機関向けに限らず、さまざまな業界のブロックチェーン関連の案件を扱っています。
宮崎氏:フィンテックという言葉は、金融とITを組み合わせた新たな取り組み全般に使われますが、この分野で目下ブロックチェーンの応用が最も進んでいるのは、やはり暗号資産だと思います。
ただ当社としては、あまりにも値動きが激しい現状の暗号資産分野に対し、ブロックチェーン技術の応用を想定していません。
これは私がNTTの研究所にいた頃から一貫しており、そうした分野に積極的か慎重かという姿勢は、企業文化によるところも大きいと思います。
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