Web3時代の企業経営とは？ モノバンドルの若き経営者に迫る

企業がブロックチェーンを自社ビジネスへ組み込もうとする場合、いくつもの課題を越えなければならない。具体的にはWeb3人材を確保した上で、ブロックチェーンに適したビジネスモデルの設計が必要だ。仮にWeb3技術の導入を外部の企業へ委託するとしても、単一のWeb3プロダクトのみを提供している事業者では包括的な支援を期待できない。そこでWeb3の事業構築から開発、マーケティングまでを幅広く手掛ける企業の協力が必要だ。

このような企業のニーズに応えるために、いくつものプロダクトを同時展開しているWeb3スタートアップが存在する。モノバンドル株式会社（東京都千代田区）だ。モノバンドルが展開する事業は多岐に渡り、NFT発行からM&Aまで包括的に手掛けている。Web3事業の企画から事業売却までの流れを一社のみで支援できるのだ。

このスタートアップを率いるのは、24歳の若手経営者。Web3事業の構想だけに留まらず、情報化社会における企業組織のあり方までをも模索している。特に着目すべきは、モノバンドルにおける組織管理の手法。従業員は皆等しく社内の情報にアクセスできるのだ。そのため、他の社員の給与額さえも閲覧可能だと言う。一般的な企業では考えられない斬新な仕組みであるが、しかし一体なぜそのような組織論に行き着いたのか。そうすることで、モノバンドルにどのような効果をもたらしたのか。

今回は、同社の代表取締役　原沢陽水氏へモノバンドルの包括的なWeb3戦略を中心として、以下の項目について聞いた。

• モノバンドルがさまざまなWeb3サービスを展開する理由
• Web3時代における新たな企業組織のあり方とは
• 大企業がWeb3企業をM&Aで買収するメリットとは

自社事業へのブロックチェーン技術の導入を目指す読者にとって、Web3時代のビジネス展開に関するヒントを得られるであろう。

Web3事業の企画から出口戦略までを包括的に支援する

モノバンドル株式会社　代表取締役　原沢 陽水氏

ーまず、モノバンドル株式会社の事業内容について、お聞かせください。

原沢氏：モノバンドルは、ブロックチェーン領域の総合ソリューションカンパニーです。
Web3分野における事業の立ち上げからM&Aまでを包括的に支援しています。具体的には、以下のサービスを提供しています。

• Web3事業立案
• 事業者向けNFTの総合インフラ『Hokusai』
• デジタル資産のコード監査・認証プロバイダー『SuperAudit』
• Web3に特化したM&Aプラットフォーム『MergePad』

これらのサービスによって、Web3へ新規参入する企業に対して総合的な支援が可能です。Web3の知見を持つモノバンドルが伴走するため、Web3参入の際に生じるさまざまなリスクを回避できます。

ーモノバンドル株式会社の強みは何ですか。

原沢氏：モノバンドルの強みは、1社だけでWeb3事業の立案から企業売却までを包括的に支援できる点です。単なるブロックチェーン技術の導入に留まらず、Web3を組み込んだ新たなビジネスモデルを提案できます。

私は、前職としてJPYC株式会社の立ち上げに参画した経験を持っています。マーケティング分野でキャリアを積み重ねてきており、トークノミクス（※1）の設計も得意です。このJPYCで得た知見を元に、事業性や収益性まで考慮したWeb3事業を立案しています。ブロックチェーン技術の導入ありきではなく、顧客の既存ビジネスに対して価値を上乗せできる提案を心がけています。

※1　トークノミクス・・・暗号資産やNFTを組み込んだブロックチェーン上の経済システムを指す。

ーモノバンドル株式会社が解決したい社会課題について、お聞かせください。

原沢氏：ブロックチェーン技術を通じて、社会全体における「価値の流動性」を向上させたいと考えています。

紙媒体からデジタルへの移行によって、社会全体で情報伝達や取引のスピードが上昇しました。ブロックチェーン技術を世の中に普及させれば、この「価値の流動性」を更に高められると確信しています。

例えば、ブロックチェーンの導入で365日24時間の業務手続きが可能です。現状の公官庁や金融機関では、受付時間の制約が存在します。そのため、休日や夜間には手続きできません。これに対して、ブロックチェーンであれば人間が介在せずとも取引の信頼性を担保できるため、いつでも手続きが可能です。このブロックチェーンによる「価値の流動性」向上はお金だけに限らず、あらゆる手続きや契約においても応用できるでしょう。

このように経済の回転効率を改善するため、モノバンドルはブロックチェーン領域での事業に挑戦しています。