GMOインターネットグループ株式会社グループ投資戦略室長 兼 GMO Web3株式会社代表取締役社長 内田朋宏氏
送り手から受け手という一方的な関係だったWeb1.0や、双方向でやりとりできるプラットフォームを巨大テック企業が握るWeb2.0の時代に続き、インターネット上のコンテンツやデータを、より分散的な仕組みで共有する時代の到来を告げるキーワードとして昨年来注目を集める「Web3.0」。ブロックチェーンなどの応用で実現されるという新たなコンセプトのもと、実際に画期的なプロダクトが今後現れるのか、はたまた単なる流行語で終わるかについては見解が分かれるものの、成否不明の可能性に賭ける決断が大きな果実をもたらすことは、数々の歴史が証明しているところだ。
では、そうした賭けを的中させた実績を持つ先駆者は、Web3.0の今後をどう予測しているのだろうか。ネットベンチャーとして国内初の株式上場を果たすなど、Web1.0の時代からネットビジネスの最先端を走り続けるGMOインターネットグループで、主にM&Aを通じた新規事業開拓に取り組んでいる内田朋宏氏(GMOインターネットグループ株式会社グループ投資戦略室長 兼 GMO Web3株式会社代表取締役社長)に聞いた。
Web3ベンチャーに対するGMOインターネットグループのソリューション
−まず、現在ご担当の業務について簡単にご紹介ください。
私は現在、GMOインターネットグループで「仲間づくり」と呼んでいる、グループ外との提携に関して実務を担う「グループ投資戦略室」の室長を務めています。
さらに、投資と協業を目的とした資本提携の検討が多いことから、自社のバランスシート強化を図る現預金の運用全般、またWeb3分野に特化したCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として今年6月設立したGMO Web3株式会社の代表も兼務しています。
−さる6月、Web3領域に特化したCVCであるGMO Web3を立ち上げられた理由をうかがえますか。
ブロックチェーンや暗号資産といったWeb3に関連するさまざまな事業を、私たちは2015年からグループ内で手がけてきましたが、今後はそうした成果をグループ外のベンチャーと共有しながら、市場全体を盛り上げていくフェーズに入ったと考えています。
ただ一方、GMOインターネットグループ本体では仮想通貨のマイニングをし、米国子会社が法定通貨に連動するステーブルコイン(価格が安定するよう設計された暗号資産)の「GYEN」「ZUSD」を発行しているほか、グループの金融持株会社であるGMOフィナンシャルホールディングスが暗号資産取引所「GMOコイン」を運営しているなど、私たちのWeb3関連事業は各社に分散しており、統一的な窓口がこれまでありませんでした。
そこでグループのWeb3関連分野について、仲間づくりの窓口を一本化できる“箱”として設けたのがGMO Web3で、この会社を通じた出資の第1号案件が、まもなく発表できる見通しです。
グループでは「エンジニア比率50%」の目標に向け、採用・人財育成を加速
(2022年12月期 第2四半期決算説明会資料より)
−他のCVCと比較して、GMO Web3はどのような点が特徴的ですか。
まずは、事業面での協力体制です。
GMOインターネットグループ全体では、ブロックチェーン技術に通じた社内エンジニアが多数在籍し、暗号資産やNFT(非代替性トークン)の流通、またそれらに関連する決済やセキュリティなどの分野で、自らサービスを提供しています。
これだけ幅広にWeb3関連事業を展開している企業は数少なく、そうした私たちが持つリソースを提供することで、Web3ベンチャーのアイデアを具現化できる機会は多いと考えています。
さらに私たちはグループ内に銀行(GMOあおぞらネット銀行)を持つ上場企業なので、ベンチャーキャピタルとしての出資にとどまらず、融資や上場準備への助言といった支援も可能です。
前例が少なく、法整備も追いついていない領域だけに、現在Web3ベンチャーが既存の金融機関から借り入れを行うのは難しく、また将来の上場を視野に入れている場合は特に、税務・会計面の事務負担が重くなります。
ですから、これらの面で私たちが持つ機能や実績、ノウハウも、Web3ベンチャーの成長に大きく役立つと考えています。
このように事業・ファイナンス両面から、Web3ベンチャーのバランスシート(貸借対照表)のあらゆる項目をサポートできる体制が、私たちならではの特徴だと思います。
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