世界は急速に変化している。多様性を認め合い、お互いを尊重し、違いを乗り越え、新しい価値を生み出すことが求められている。世界が共通して目指しているSDGs(持続可能な開発目標)にも、『ジェンダー平等を実現しよう』が17の目標のうちの1つとなっている。
自由や平等を目指す世界観は、まさにWeb3が目指すものだ。非中央集権的な仕組みが目指す本質は、誰かが誰かに支配されたり、一部の人たちが不自由を強いられたりするのではなく、誰もが自分らしく輝き、誰も困らない豊かな世界のように思える。
ただ、そんな自由や平等をすぐに実現するのは難しい。なぜなら、人々の常識や法律が変わるのには、とにかく時間がかかってしまうからだ。
一方、差し迫った現実として困っている人たちがたくさんいる。夫婦別姓や事実婚、同性婚は選べないので、パートナーシップ、ファミリーシップなどの『多様な家族のカタチ』を望む人たちだ。
現行法では公的な証明を得にくいがために、公的サービスや保障、民間が提供する福利厚生や特典などに制限を受けてしまったり、権利を得られなかったりする場合も多い。
そんな課題を解決するサービスがFamiee(ファミー)だ。
常識や法律が変わるのを待たなくても、『多様な家族のカタチ』を賛同し導入する企業が増えることによって、より自由で平等な社会に近づくことができるようになる。そして、その賛同の輪はますます大きく広がろうとしている。
Famieeとは一体どんなサービスなのか?Web3が解決する本質的な課題とは?
『多様な家族のカタチ』を支援する一般社団法人Famieeの代表理事であり、株式会社ホットリンク 代表取締役でもある内山幸樹氏に話を聞いた。
一般社団法人Famieeの代表理事 / 株式会社ホットリンク 代表取締役 内山幸樹氏
『多様な家族のカタチ』を支援するために、スマホで簡単に発行できる民間の家族関係証明書発行サービスです。
例えば、同性のパートナーの方や、事実婚の方たちは、法的な婚姻関係に当たらないため、行政や企業が提供するさまざまな支援やサービスを受けられない場合があります。他にも、精子・卵子提供を受けてできた親子や、今後は、シングルマザー同士で支え合うパートナーなど、家族のカタチはますます多様化しています。しかし、その変化に法律や制度が追い付いていません。
今すぐにでも支援が必要な場合もあるのに、『多様な家族のカタチ』を選んだ人たちをサポートする仕組みがほとんどありませんでした。
そこで一般社団法人Famieeを立ち上げ、「多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現」という理念のもと、民間発行の家族関係証明書によって多様な家族関係を証明できる仕組みを開発しました。
現在は、2021年より同性向けパートナーシップ証明書を発行する仕組みが実装されています。今後は異性向けパートナーシップ証明書にも対応する予定です。
Famieeを利用すれば、国の法律や制度が変わるのを待たずに、賛同者間で開かれたサービスを受けることができます。
現在、提携する自治体や企業は70を超え、ますますその輪が広がりつつあります。市川市や日南市などの自治体をはじめ、みずほフィナンシャルグループや野村ホールディングス、日本航空、損害保険ジャパンなど多くの企業・団体に参画をいただいています。
今後もFamieeの活動や理念に賛同いただける自治体や企業を増やし、『多様な家族のカタチ』が当たり前のように認められる社会の実現を目指していきます。
ーFamieeを立ち上げた理由や経緯を教えてください
私がFamieeを立ち上げた理由は、LGBTQの方々への支援をスピーディに行いたいと考えたからです。
私の知人にLGBTQの当事者の方がいます。その方は日本において同性婚が認められるようにいろいろな活動をしていまして、私もその活動を応援していました。また、私は会社を経営する立場でもあったので、ダイバーシティを推進する活動も行っていました。
しかし、日本の法律が変わるには数年単位の時間がかかる可能性があります。
一方、性的マイノリティの方々は、法的な婚姻関係に当たらないため、行政や企業が提供するさまざまな支援やサービスを受けられないことが多く、すぐにでも問題を解決したい状況に直面しています。
職場や住む場所、病院などで家族と認められず、さまざまなサービスや支援、福利厚生を受けられないのです。そのため、いますぐに解決できる方法を考える必要がありました。
法律を変えることができなくても、『多様な家族のカタチ』を応援したいと考える企業や団体が集まれば、支援の輪を広げていくことができるのではと考えました。
民間のパートナーシップ証明書を発行し、それに賛同する企業や団体が家族として承認する仕組みがあれば、サービスや支援、福利厚生を受けられるようになるのです。
ただし、民間からパートナーシップ証明書を発行するには、確実な本人認証を行うことや高いセキュリティの確保、低コストで半永久的に稼働できるシステムの開発が必要でした。
ちょうどその頃、私が経営するIT企業ではブロックチェーンの研究や事業開発を行っていました。ブロックチェーンを活用したWeb3の世界では、中央集権的な仕組みがなくても、参加者同士が主体的に活動して、みんなが理想とする目標や目的を達成できるようになっています。
このようなWeb3の技術や考え方を活用すれば、LGBTQの方々に必要な支援をスピーディに実現できるのではという考えに至りました。
Web3の技術を使えば、高いセキュリティを実現しつつ、低コストで運用ができ、半永久的にシステムが稼働できます。不正や改ざんができない状態でパートナーシップを証明し、利用する人たちのプライバシーも恒久的に守ることもできます。
Web3の考え方を活用すれば、賛同するもの同士が集まって、スピーディに変革を起こしたり、理想とする目標を達成することができます。
こうした経緯で一般社団法人Famieeを立ち上げ、私が代表理事を務めることになりました。他にもFamieeのビジョンに賛同する数多くのメンバーがボランティアとして参加しています。
ーFamieeが解決する具体的な課題にはどんなものがあるのでしょうか?
Famieeが解決する課題には主に以下のようなものがあります。
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