NFTブームを契機に、2021年から急速に注目を集めたWeb3。そんなWeb3市場では、日々多様なプロジェクトが誕生している。多くのチェーンが開発され、さらにいくつものDappsが構築され、そこにビジネスチャンスを感じた既存企業の参入も増加の一途を辿っている。
発展途上であるため、Web3市場は多くの課題を抱えているが、その一つがWeb3ネイティブなユーザーとのコミュニケーションツールが無いことである。そのため、TwitterやDiscordなどのWeb2的ツールを使わざるを得ないのが現状だ。
個人情報を明かすことなく、ウォレットアドレスのみでアプリケーションの利用が可能なWeb3の強みが活かせていない。アプリケーションを跨いでのコミュニケーションが必要なため、利便性が向上できず、セキュリティ面にも大きな問題がある。
こうしたWeb3コミュニケーションの課題を解決するのが『DMTP』だ。
DMTPは、『Decentralized Message Transfer Protocol』を略した名称で、ウォレットアドレスベースでメッセージの送受信ができる分散型プロトコルとなっている。デジタルウォレットを活用するので、高いセキュリティでユーザーもプライバシーを守りつつ、異なるブロックチェーン間であっても、メッセージのやりとりを可能にしている。
DMTPが実現する新しいWeb3体験とは?DMTPによって未来がどう変わるのか?
ハイフン有限責任株式会社(シンガポール)のco-founder CEO 佐々木 亜留氏とco-founder COO 荒木 康介氏に、DMTPの詳しいサービス内容や今後のWeb3戦略を聞いた。
ハイフン有限責任株式会社 co-founder CEO 佐々木 亜留氏
佐々木氏:私は現在大学4年生なのですが、1年間休学をしてニューヨークに留学をしていました。
留学期間中に現地のベンチャーキャピタル(VC)でインターンシップをさせていただきました。
その時にWeb3領域のビジネスを知り、非常に興味を持ちました。それまでは貧困から世界の人々を救うための勉強をしていたのですが、Web3であればより大きな力で人々を救うことができると考えました。
実際、ブロックチェーンゲームのAxie Infinity(アクシーインフィニティ)では、ゲーム内でトークンが稼げることによって、フィリピンの貧困層を救っているという事例も出てきていました。
以前から漠然と起業したいという思いもあったため、Web3の可能性に大きな魅力を感じました。そんな中、同じWeb3領域での事業を考えていた荒木さんと知り合うきっかけがあり、共同でWeb3の会社をシンガポールに設立することになりました。
ハイフン有限責任株式会社 co-founder COO 荒木 康介氏
荒木氏:私はもともとエンジニアをしていました。その後は会社を設立して、現在までに4社の起業を経験しています。2014年には、Binance FounderのCZ氏と共同で日本での仮想通貨取引所の設立プロジェクトも立ち上げを経験しました。
それをきっかけにクリプトでビジネスをしたいと考えていたのですが、当時はファイナンス色が強く、ITのバックグラウンドの強みだけでは難しいと感じていました。しかし、クリプトの可能性に魅力を感じていたので、ずっとウォッチしていました。2017年には、ICOプロジェクトに複数参加したり、2019年には仮想通貨のクラウド型自動売買システムを開発したりもしていました。
2021年末ごろにDeFiが非常にトレンドになっていた時、ニューヨークでクリプトのVCを立ち上げた方にDeFiについて教えてもらいに行きました。その時にインターンシップで働いていた佐々木さんと知り合いました。
そこで意気投合した私たちは、NFTプロジェクトを作ったり、マーケットプレイスの立ち上げに参画したりして、Web3のビジネスに共同で関わるようになっていきます。
その中でWeb3領域でのコミュニケーション手段で困ることが多くありました。そこでオールチェーンでコミュニケーションができるDMTPを企画し、Highphen Pte. Ltd.を設立するに至りました。
ーそれぞれの役割分担を教えてください。
佐々木氏:私はCEOとして、営業や広報を担当しています。Web3関連の企業を回り、事業提携や資金調達などの話をしています。まだ大学生で自由が利くこともあるので、機動力を活かして海外を飛び回っています。
荒木氏:私はITビジネスに関する経験が豊富で、4社を起業した経験もあります。会社のオペレーション部分に強みを持っていますので、COOとしてHighphen Pte. Ltdの経営や人事などのマネジメント全般と開発も含めて担当しています。
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