脱炭素に向けた社会的な潮流が加速している。いまや業種を問わず、あらゆる事業者に対してCO2の削減が求められている。加えて、社外に向けてCO2削減への積極的な姿勢をアピールしなければならない。さもなければ、自社の業績にも悪影響が及んでしまうからだ。とはいえ、このような企業のひたむきな取り組みについて、我々一般消費者はどこまで理解しているだろうか。漠然とCO2の削減が求められていることは認識していても、いつまでにどの程度の削減が必要なのか、現在どの程度の削減が実現出来ているのかを把握されている方は少ないのではないだろうか。
日本政府が公表している「地球温暖化対策計画」によると、2030年度までに温室効果ガスを46%削減しなければならない(2013年度比)。このように将来に向けた目標は定まっているものの、我々が日常生活を通じてどれほどのCO2を排出しているかはあずかり知らぬ状況だ。現状の数値が見えないなかでは、具体的な行動にはつながらないであろう。
このような課題を解決すべく、NFTを活用してCO2の見える化に取り組むWeb3スタートアップが存在する。株式会社bajji(バッジ)(東京都台東区)だ。bajjiが展開する環境貢献型NFT「capture.x(キャプチャー エックス)」では、企業のCO2削減量が個人のユーザーにも伝わるという。CO2削減の効果を数値で示し、脱炭素に向けて環境人々の意識を変えようとしているのだ。
このスタートアップを率いるのは、IT領域における連続起業家だ。何社ものスタートアップ創業を経たベテラン経営者は、次なる事業のテーマとして「脱炭素」を選んだという。特に着目すべきは、楽しみながらもCO2削減に貢献できるサービス設計だ。capture.xでは、個人がゲームを楽しむ感覚でCO2削減に参画できる。しかし一体、どのような経緯で「脱炭素」×「NFT」のサービスに行き着いたのか。また、capture.xを導入した事業者には、どのような恩恵がもたらされたのか。
今回は、同社の代表取締役 小林 慎和氏へbajjiの脱炭素ビジネスを中心として、以下の項目について聞いた。
CO2削減は、あらゆる事業者にとって避けて通れない課題である。自社の施策に悩みを抱える読者にとって、脱炭素に向けた取り組みを考えるヒントとなるだろう。
株式会社bajji 代表取締役 小林 慎和氏
ーまず、株式会社bajji(バッジ)の事業内容について、お聞かせください。
小林氏:bajjiは、ブロックチェーン技術の強みを持ったテック企業です。「テクノロジーの力で世の中を1mmでも良くする」という目標を掲げており、以下のサービスを提供しています。
「bajji」という社名は、胸につけるバッジに由来します。いつでも胸につけられるようなサービスの開発を志して創業しました。
創業当初の事業は、リアルでのイベント開催やコワーキングスペースで使用できるアプリの提供でした。しかしコロナ禍によって対面での交流が制限されてしまったため、事業の方針転換をして現在に至ります。
ー株式会社bajjiの組織体制について、お聞かせください。
小林氏:2023年5月時点で、11名の正社員が在籍しています。加えて、5名ほどのフリーランスに業務委託をしています。
ほとんどのメンバーが、エンジニアです。ブロックチェーンのエンジニアだけでなく、バックエンドを担当する者など、Web2領域に精通したエンジニアも数多く所属しています。
ー株式会社bajjiにおける小林様の役割について、お聞かせください。
小林氏:私は代表取締役として、社内のほぼすべての業務に携わっています。
具体的には、ビジネスモデルの構築からサービス設計、法務など多岐にわたります。他にも、営業や財務も私の仕事です。
私は学生時代にコンピューターサイエンスを専攻していたため、プログラミングに関する知見を持っています。そのため、サービス設計の際は私が先頭に立ち、各エンジニアをディレクションしています。
ー株式会社bajji創業に至るまでの小林様のご経歴について、お聞かせください。
小林氏:私は、連続起業家として何社ものスタートアップを設立してきました。
まず、大学卒業後は野村総合研究所に就職し、IT領域の経営コンサルタントに従事しました。その後に転職先として選んだ企業が、GREEです。当時のGREEは、積極的なM&Aによって勢力を拡大させていました。そのような状況で、私自身もシンガポール法人の責任者に就任し、企業買収の任務にあたっていました。
このシンガポールという土地に魅力を感じたため、2012年12月にシンガポールに拠点を構えて最初の起業に挑戦したのです。ここから、連続起業家としてのキャリアが始まりました。以下のように、私は次々とビジネスの立ち上げに取り組みました。
これらの事業を東南アジアで展開していたものの、一つ問題点がありました。それは、ベンチャーキャピタルからの出資を受けられなかった点です。
2010年代の当時、ベンチャーキャピタルから出資を受けるには、日本に拠点を置く日本法人である必要がありました。よって、日本人が海外を拠点に起業した場合には、資金調達を受けられなかったのです。このような背景から、「事業をさらに加速させるには日本を拠点に起業した方が良い」との結論に至りました。そこで日本へ帰国し、2016年にブロックチェーン事業のスタートアップ「株式会社LastRoots」を創業しました。
このLastRootsをイグジットした後に、再度ブロックチェーンビジネスに挑戦するため、bajjiを立ち上げています。
ー2016年の株式会社LastRoots創業に続き、株式会社bajjiは2回目のブロックチェーン領域への挑戦となります。両社のブロックチェーン事業には、どのような違いがあるのでしょうか。
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