コロナ禍で消費を取り巻く環境が大きく変化し、さまざまな業界が従来とは異なる新たなビジネスモデルの構築を迫られている。
渋谷のランドマーク的な存在であり、若者世代から絶大な支持を集めるSHIBUYA109渋谷店(以下、SHIBUYA109)も例外ではない。
SHIBUYA109を運営するSHIBUYA109エンタテイメントは2022年3月、新型コロナウイルスの影響による外国人観光客の減少や人々の行動様式の変化に対応する目的でメタバース・NFT事業に参入すると発表した。メタバース上にSHIBUYA109を含む渋谷の街の一部を構築し、訪れる人々に新たな顧客体験を提供していくという。
SHIBUYA109エンタテイメントでメタバース・NFT事業を手がける石川智彦氏(マーケティング戦略事業部企画戦略部プロデューサー)は、「メタバースであれば世界中どこからでも渋谷を訪れることができ、リアルでは難しい体験をすることが可能です」とメリットを強調する。
プロジェクトの具体的な内容や、同社が今後目指していく姿について石川氏に話を聞いた。
株式会社SHIBUYA109 エンタテイメントマーケティング戦略事業部 企画戦略部 プロデューサー 石川智彦氏
-貴社がメタバース・NFT事業に参入したきっかけを教えてください。
きっかけはコロナ禍で人々の行動様式が変化したことです。
商業施設を運営する当社は新たなビジネスモデルの構築が急務であり、メタバース・NFT事業への参入が候補に挙がりました。リサーチを続ける中で、ブロックチェーンメタバースゲームの中でも注目度の高い「The Sandbox」上に当社専用の土地を開設する案が浮上しました。
-「The Sandbox」についてご説明いただけますか?
「The Sandbox」は、メタバース内を自由に移動して遊べるブロックチェーンゲームです。
メタバースへの関心の高まりと共に世界中から注目を集めています。
『The Sandbox』(サンドボックス)はイーサリアムのブロックチェーン技術を基盤とした「ユーザー主導のゲームプラットフォーム」です。
ユーザーはMetaverse(メタバース)と呼ばれる仮想空間上のLAND(土地)を購入し、SANDトークン(暗号資産)を利用し、オリジナルのゲームやアイテム、キャラクターなどを作成したり、売買したりすることができます。
当社の主力事業は商業施設の運営であり、自社商品を販売するEC拡張型のメタバースでは最大限強みを生かしきれないのではないかと考えました。
一方でThe SandboxはLANDを購入し、私たちが考える世界観をゼロから構築できる点が理想的だと感じました。
プロジェクトの準備を進めていた2021年6月頃、Animoca Brands Corporation Limited(香港)の子会社Bacasable Global Limited (香港)のThe Sandboxが日本での事業展開を検討しており、SHIBUYA109が提携先の候補に挙がっていることを知りました。
2022年3月にThe Sandboxとの業務提携契約を締結し、The Sandbox上のメタバースに当社専用の土地「SHIBUYA109 LAND」を開設することになりました。
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