新たな技術でニーズを獲得し、巨大な市場を創出できる領域として技術者や企業、投資家などからの期待を集めているWeb3。これまで複数の事業を立ち上げた実績を持つ連続起業家の中でも、この領域に可能性を感じ取って事業開拓を図る動きが活発化している。その1人が、メガネの通販「オーマイグラス」の立ち上げに携わり、地域限定SNS「マチマチ」の代表を務めてきた六人部 生馬氏(v, Managing Partner)だ。Web3特化型のスタートアップ投資・創業支援を手がける「Tané」を2023年1月に開始し、現在中東のドバイを拠点に活動中の同氏に、取り組みの狙いや内容と、Web3市場への見方を聞いた。
Tané Co-Founder, Managing Partner 六人部 生馬氏
−まず、六人部さんの現職と略歴についてご紹介ください。
Web3領域に特化したインキュベーター(起業支援組織)である「Tané」を創業し、現在マネージングパートナーを務めています。Tanéは創業メンバー4人による出資のほか、ベンチャーキャピタル・個人投資家を引受先とする第三者割当増資で、約10億円の資金を調達済みです。
私は、新卒入社したソフトバンクの投資企画室でM&Aなどに従事し、その後外資の投資銀行であるUBSを経て、データ分析技術に基づくレコメンドエンジンなどを提供するサイジニア株式会社の事業開発と資金調達を担当しました。
のちに上場企業となる同社でスタートアップの経営実務に携わった経験を生かし、メガネECの「オーマイグラス」(運営会社設立は2011年7月)では共同創業者/取締役COOを、また最大月間200万人が利用していた地域限定SNS「マチマチ」(同2015年10月。2022年5月にサービス終了)では代表を務めました。
2社目の起業だったマチマチは営利事業として成り立つ段階まで至らなかったものの、多くのユーザーに恵まれ、全国およそ130の自治体と防災情報提供などで提携するといった成果も得られました。その一方で私は、2社目の起業候補としてビットコインを研究したのをきっかけに暗号資産への投資を始め、以後ブロックチェーン関連のコミュニティを通じて、Web3分野で事業をつくる力を持つ世界各地の起業家・エンジニア・デザイナーらと知り合うことができました。
そこで、この分野での事業を2022年11月から本格的に検討しだし、Tanéの設立に至りました。
− Web3領域の中で、インキュベーター事業を選ばれたのはなぜですか。
私はブロックチェーンが個人の力をさらに引き出し、よりよい社会をもたらすテクノロジーだと確信しています。
多くの人が抱いている同様の期待、また投機的な思惑や金融緩和という経済状況もあって、Web3分野にはここ数年、多少の波はありつつも、総じて豊富な資金が流入してきました。
これまで私が起業家として10年以上実感してきたことでもありますが、潤沢に出回るお金の価値が相対的に下がったのに伴い、ゼロから1を生み出したいスタートアップ企業は、出資と同等以上に「実務的なサポート」を求めるようになっています。
こうした起業支援のベストプラクティスはまだ確立しておらず、多くの方々が模索を続けています。そこで私も、自身の起業で得た経験や培ってきたリソースをもとに新たな貢献ができるのではないかと考えました。
旧知の友人からは「起業家から投資家に変わったのか」などと問われますが、出資と、実務的な支援を二本柱とするインキュベーターの事業に、私自身は「3度目の起業」という気持ちで取り組んでいます。
−現在8社の投資先リストを見ると、インフラ技術やデザイナー集団といった、Web3ベンチャー向けのtoBビジネスが多いように思います。Tanéにおける投資のコンセプトについてお聞かせください。
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