ブロックチェーン技術を活用した自律分散的なプロジェクトでは、ユーザーを中心としたコミュニティが重要な役割を果たす。コミュニティのメンバーが自発的に意見を出し合い、この議論によってプロジェクトの方向性が定まっていくのだ。多くのプロジェクトではNFTが発行され、このNFTがコミュニティにおける会員証として機能する。NFTを軸としたコミュニティにより、ユーザー主導型のプロジェクトが実現しているのだ。
この自律分散的なプロジェクト運営の手法を、街づくりの領域に取り入れようと挑戦する大手企業が存在する。渋谷エリアを中心として都市開発を手掛ける企業「東急株式会社(東京都渋谷区)」だ。同社は、NFTを活用した新たな体験として「SHIBUYA Q DAO」というプロジェクトを始動させた。この「SHIBUYA Q DAO」では、NFT保有者による参加型・共創型のコミュニティが形成されている。そしてNFTの保有者は、渋谷の街で新しいエンタテインメント体験や優待などを受け取れるのだ。この体験を通じて、NFTの保有者たちが互いに交流を深めていく仕組みだ。
実際に「SHIBUYA Q DAO」は大きな話題となっており、2023年11月に先行販売された100枚のNFTはすぐに完売した。コミュニティ内の交流も活発で、2024年以降にはNFTのさらなる追加販売も計画しているという。なぜ、運輸や不動産を展開する東急グループは、「SHIBUYA Q DAO」のようなNFTプロジェクトに乗り出したのか。また、この「SHIBUYA Q DAO」は、どのような経緯によって実現したのか。
「SHIBUYA Q DAO」のプロジェクトを企画・運営しているのが、東急株式会社 フューチャー・デザイン・ラボの天野 真輔氏である。プライベートでNFTに携わった経験をもとに、東急でのNFTプロジェクトに挑戦している人物だ。天野氏曰く「Web3のDAO的な思想が、今後の街づくりにおいて重要な鍵となる」という。自治体や企業だけでなく、渋谷で生活する人々を巻き込んで街づくりの議論をしていく必要があるのだという。「SHIBUYA Q DAO」を通じて、東急はどのようなビジョンを実現させようとしているのか。
今回は、東急株式会社 フューチャー・デザイン・ラボの天野氏へ、同社のNFTプロジェクト「SHIBUYA Q DAO」を中心として、以下の項目について聞いた。
大手企業である東急は、いかにしてNFTプロジェクトを実現できたのか。ブロックチェーン技術の事業への導入に悩む我々にとって、同社の取り組みから大きなヒントを得られるはずだ。
ーまず、「SHIBUYA Q DAO」を企画・運営した部署である「フューチャー・デザイン・ラボ」について、組織の概要をお聞かせください。
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