2021年を境に、ブロックチェーンの世界では無数のNFTプロジェクトが誕生している。これらのプロジェクトはDAOを主体として進められており、アニメやゲームなど各々のDAOが特色を打ち出しながらプロジェクトを進めている。
このような中で、「現代アート集団」を名乗る異色のDAOが存在する。芸術家のGORO氏を中心としたDAO「GORO-DAO」だ。このGORO-DAOには芸術に関心を持つメンバーが集っており、Web3時代の芸術を追求している。
GORO氏は芸術に精通した人物であるものの、既存の美術界への反骨心からWeb3へ挑戦しているという。そして同氏のもとには、熱狂的な支持者が集まっている。このGORO-DAOの結束を強めている求心力の正体は何なのか。
また2023年4月には、GORO-DAOの企画によって東京駅近郊でのリアルパフォーマンス「Magic web3 car」が開催された。多くの通行人が行き交う中で展示された現代アートには、DAOとしてどのような狙いがあったのだろうか。
今回は、GORO-DAOのモデレーターである「もこ(@cryptomoko92)」氏と「osakana.eth(@osakana_crypto)」氏へ、GORO-DAOの取り組みや今回のイベントの真意について聞いた。
DAOを中心としたコミュニティ文化に興味を持つ読者にとって、GORO-DAOの活動事例からいくつものヒントを得られるであろう。
目次
2023年4月22日(土)、GORO-DAOがライブパフォーマンス「Magic web3 car」を敢行した。東京駅に現れたのは、1台のマジックミラーカー。荷台には特殊なフィルムが貼られており、道行く人は車内の様子を窺い知れない。
この車内で、GORO-DAOのメンバーによるパフォーマンスが披露された。しかし当然ながら、通行人はマジックミラー越しのパフォーマンスを鑑賞できない。その一方でWeb3に精通した人であれば、車内の様子を確認できる。なぜなら、車内の様子を捉えた写真がNFTとしてブロックチェーン上に公開されているからだ。つまり、このライブパフォーマンスはWeb3ユーザーのみが楽しめる仕組みなのだ。
このマジックミラーカーは、「Web3とWeb2における情報の非対称性」を表現した現代アートである。ブラックボックス化された車内はWeb2の世界観を表しており、ユーザーに対して内部の情報が秘匿されている。これに対して、Web3のユーザーには情報の透明性が担保されるのだ。
今回のライブパフォーマンスの狙いやGORO-DAOの取り組みについて、モデレーターを務める「もこ」氏と「osakana.eth」氏へ取材した。
GORO-DAO モデレーター もこ氏
ーまず、GORO-DAOの概要を教えてください。
もこ氏:GORO-DAOは、GORO氏のファンが集ったコミュニティです。特に決まった活動はなく、各々のメンバーが好きなことに取り組んでいます。これまでの活動として、以下の事例が挙げられます。
このように、幅広い分野での活動が行われています。
osakana.eth氏:メンバーのバックグラウンドはさまざまです。芸術家やラッパー、デッサンの講師などが所属し、各々の強みを生かして活躍しています。
ただ、決してお金儲けを目的に活動しているわけではありません。それぞれが好奇心を原動力としてDAOへ貢献しており、「ただ楽しいから」という動機で参加しています。このように「GORO氏のファン」という共通項のみにも関わらず、一つのDAOとしてしっかりと機能しているのです。
GORO-DAOを起点に活動する音楽ユニット「GORO瞳孔ヒラキッパーズ」の取り組みについて、以下のインタビューをご覧ください。
GORO-DAO モデレーター osakana.eth氏
ーGORO-DAOのモデレーターであるosakana.eth様のご経歴について、お聞かせください。
osakana.eth氏:私は美術大学出身のアーティストで、メディアアートの領域でキャリアを積んできました。
NFTに興味を持った理由は、アート領域へ応用が可能だと考えたからです。私は、とあるスタートアップが2018年に発表した「ブロックチェーンを用いた真贋証明」のサービスを目の当たりにしました。この出来事を経てから、「ブロックチェーンと現代美術を接続したい」と考えるようになったのです。しかし実際に取り組んでみたものの、なかなか良いアイデアは浮かびませんでした。
このような中で、偶然GORO氏の作品と出会いました。GORO氏の作品は他のNFTプロジェクトとは比較にならないほど傑出しており、一目見ただけで現代アートを体現していると直感したのです。
加えて、GORO氏に関してさらに調べていく中で、私よりもはるかに高い次元の芸術家であると確信しました。そこで、「私一人でNFTに取り組むよりも、GORO氏のコミュニティに参画した方が面白い挑戦ができるだろう」と判断したのです。このような経緯から、私はGORO-DAOのメンバーとなりました。
ー次に、もこ様のご経歴について、お聞かせください。
もこ氏:モデレーターの「もこ」と申します。私は、芸術とは無縁の業界でキャリアを重ねてきたサラリーマンです。しかし2021年からはNFTへ挑戦し、テゾスのブロックチェーンを舞台に作品を発表していました。このNFTプロジェクトに挑戦する過程で、GORO氏の存在を知りました。
当初、GORO氏に抱いた印象は「型破りなおじさんだな」という感想です。GORO氏は借金を背負う身であり、借金取りから逃れるために離島へ逃れていた人でした。そして、その借金を返す目的でNFTプロジェクトに挑戦していたのです。しかし、GORO氏について知れば知るほど、その芸術に対する知見や真摯な姿勢は並大抵のものではないと気づいたのです。そして今ではGORO氏の魅力に取りつかれ、彼を応援する一員となっています。
ーお二人がGORO-DAOのモデレーターに就任した経緯について、お聞かせください。
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