共創で新たな価値を!富士通が自社のWeb3技術を一般公開した理由とは?

今では、日本の大手企業がブロックチェーン技術の実証実験を積極的に展開している。自民党の成長戦略においてもブロックチェーン技術が重要項目として掲げられており、大手企業によるWeb3領域の探索は今後も続いていくだろう。

無論、IT分野の大手企業も、ブロックチェーン技術の動向に注目している。なかでも富士通株式会社(東京都港区)は、これまでにない斬新な手法によってWeb3における新たな価値を創出しようと取り組んでいるのだ。

富士通はあらゆる産業の情報システムに携わってきたため、従来型ネットワークの構造を隅々まで熟知している。加えて、AIやデータセキュリティといった幅広い領域でも事業を展開してきた。これらの技術を活かし、既存の社会インフラにWeb3を融合させようとしているのだ。

ただ、このような研究を経て富士通が開発したのは、一般的に想像されるようなプロダクトではない。ラインナップされているのは、「データの真正性を証明する仕組み」や「インターオペラビリティ(相互運用性)を実現するためのソリューション」などである。つまり、ブロックチェーンネットワークを支える技術基盤の開発に特化しているのだ。さらに驚くべきことに、自社で開発したこれらの技術を「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」として集約し、「Fujitsu Research Portal」上でグローバルに一般公開したのだという。どのような考えがあって、社内の技術を世間に公開する決断へと至ったのだろうか。

また、富士通は他の企業との「共創」により、ブロックチェーン領域の探索を進めている。実際に、株式会社ジェーシービー(JCB)と連携しデジタルアイデンティティ領域における共同研究の実績をはじめ、この他にも教育機関や企業など、業界を問わず数多くの共創パートナーを有する。果たして、富士通が他社との共創に力を入れる背景には、どのような理由があるのか。

この富士通 データ&セキュリティ研究所の「Trusted Web3 コアプロジェクト」において、プリンシパルリサーチャーを務めるのが中山 貴祥氏である。ブロックチェーンの研究開発だけでなく、他社との連携にも取り組んでいる人物だ。

中山氏曰く「富士通は、Web3の土壌を耕している」と語る。ブロックチェーンを社会実装させるための基盤を富士通が整備し、その土壌の上でさまざまなアプリケーションが花開くのだという。一体、富士通はWeb3に関してどのような事業戦略を描いているのだろうか。

今回は、「Trusted Web3 コアプロジェクト」のプリンシパルリサーチャー 中山 貴祥氏へ、富士通のブロックチェーンに関する取り組みを中心として、以下の項目について聞いた。

  • なぜ、富士通は自社の技術を世間に一般開放したのか
  • 情報・通信分野の大手である富士通が抱く、ブロックチェーンへの期待とは
  • ブロックチェーンの研究開発にあたり、他社との共創を重視する理由とは
  • 他社との共創は、どのようなメリットをもたらすのか

「自社の事業にブロックチェーン技術を取り入れたいが、さまざまな障壁がある」と悩む企業の担当者も多いであろう。ブロックチェーンを実装するための技術的なハードルは高く、一般企業にとって容易ではない。そのような中で、ブロックチェーンの基盤整備に取り組む富士通の活動からいくつものヒントを得られるはずだ。

自律分散型社会システムへのリデザインを目指して

富士通株式会社 データ&セキュリティ研究所 Trusted Web3
コアプロジェクト プリンシパルリサーチャー 中山 貴祥氏

ーまず、データ&セキュリティ研究所について、組織の概要をお聞かせください。

 

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