ブロックチェーン技術を活用した自律分散的なプロジェクトにおいては、ユーザーたちの意見がそのままプロダクトへと反映されるものもある。コミュニティのメンバーがさまざまな意見を出し合い、議論の上でプロジェクトが進んでいくのだ。ユーザー間の議論が白熱するほど、コミュニティの熱量は高まっていく。この求心力こそが、web3プロジェクトの原動力となるのだ。
このような自律分散的なプロジェクトの手法を、ゲーム制作の分野で取り入れようと挑戦する大手企業が存在する。「パワフルプロ野球」シリーズや「桃太郎電鉄」シリーズなど、数多くのヒットタイトルを世に送り出してきた株式会社コナミデジタルエンタテインメント(東京都中央区。以下KONAMI)だ。同社はブロックチェーン領域にも精力的に取り組んでおり、web3事業部という専門の部署を組織している。
KONAMIは、2023年09月21日にweb3プロジェクト「PROJECT ZIRCON(プロジェクト・ジルコン)」を発表した。この「PROJECT ZIRCON」は、ゲーム制作を目指すプロジェクトだ。しかし情報を公開した時点では、ゲームの設定に関してほぼ何も決まっていないのだ。ゲームコンテンツの制作に取り掛かるのかさえ確定していないのだという。
「PROJECT ZIRCON」ではユーザー同士がオンラインコミュニティ上で議論し、ゲームのシナリオやキャラクターの設定を決めていく。このゲームを創る過程にこそ、おもしろさがあるのだという。そしてファン自身が小説や関連グッズなどを創作し、IP(知的財産)コンテンツとしての盛り上がりを生み出していくのだ。そして、求心力が十分に高まった段階ではじめてゲーム制作のフェーズに入る。このようなゲーム開発の進め方は、これまでにないと言えるだろう。まさに、web3時代のゲーム開発手法だ。
なぜ、KONAMIはこれほどまでにweb3事業に力を入れているのだろうか。その背後には、web3事業部を率いる部長 金友 健氏の存在があった。
金友氏はブロックチェーンが世の中を一変させると確信し、社内におけるweb3の事業化を推し進めてきたのだ。金友氏曰く、ブロックチェーンを活用すれば、ゲーム内のアイテムによって現実世界でも恩恵を受けられるようになるのだという。加えて、プロモーションのあり方も根本から変わると予想しているのだ。一体、どのような未来を描いているのであろうか。
今回は、株式会社コナミデジタルエンタテインメント web3事業部において部長を務める金友 健氏へ、同社が推し進めるweb3事業を中心として以下の項目について聞いた。
ブロックチェーン技術を自社の事業に取り入れようと試みている事業者も多いであろう。しかし、まだ具体的な道筋は見えず、どの企業も試行錯誤の状態が続いている。そのようななかで、大手企業が推進するweb3プロジェクトの事例は、読者である我々にとって大きなヒントとなるはずだ。
ーまず、web3事業部の役割や概要について、お聞かせください。
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