Web3が脚光を浴びて以降、スタートアップのみならず、大企業においても、Web3領域での新規事業の創造が模索されている。とはいえ、先端技術であるがゆえにロールモデルは少なく、各社が新しいビジネスモデルの創出を手探りで進めている最中だ。

また、たとえ新しいビジネスモデルが生まれたとしても、発展途上であるWeb3領域において、プロダクトを大衆にまで浸透させるのは決して容易ではない。大衆化に向けた大企業ならではのレバレッジの効くケイパビリティが必要となる一方で、ベンチャー企業のような早いスピードでの試行錯誤が必要となるからだ。これらの要素を1社単独で完結させるのは至難の業である。

このような状況のなかで、積極的な他社との提携によってWeb3事業を立ち上げようと取り組む企業が存在する。モバイルゲームやプロ野球の球団など幅広い事業を展開する企業「株式会社ディー・エヌ・エー(東京都渋谷区)(以下:DeNA)」だ。同社は創業から24年経ったいまでも、永久ベンチャーを標榜しており、ベンチャーマインドと大手企業の双方の要素を併せ持っている。そのため、事業の立ち上げからスケールアップまで、一連のノウハウを保有しているのだ。

このDeNAが、Web3を活用した新規事業を立ち上げるために、他社との提携を加速させている。その一方で、DeNAも独自でWeb3技術の実証実験に取り組んでいるのだ。一体、同社はどのようなWeb3戦略を描いているのか。

DeNAの中でスタートアップや、イノベーションに取り組む大企業との提携を推進しているのが、田中 翔太氏だ。「怪盗ロワイヤル」などDeNAの人気コンテンツを支えてきた人物であり、現在はデジタルエンターテインメント事業部の事業部長も兼任している。田中氏曰く「DeNAでは、成功の兆しを見つけるためにさまざまな独自の取り組みをしている」とのこと。果たして、田中氏が追い求める「成功の兆し」とは、いかなるものなのか。

今回は、同社のオープンイノベーション推進室で室長を務める田中 翔太氏に対して、Web3の新規事業に向けた取り組みを中心として、以下の項目について聞いた。

  • DeNAが、Web3の実証実験に取り組む理由とは
  • DeNAが、他社との提携に力を入れる理由とは
  • Web3への参入を検討するにあたり、どのような基準で事業判断をすべきか

Web3サービスを事業化した上でスケールアップさせるには、さまざまなノウハウやアセットが必要となる。そのすべてを自社単独でまかなうのは難しいため、他社と提携してお互いの能力を補完する戦略も選択肢の一つとして挙げられる。新たなWeb3サービスを模索する読者にとって、DeNAのWeb3戦略は大いに参考となるだろう。

スタートアップとの協業・共創を目指して

株式会社ディー・エヌ・エー イノベーション戦略統括部 オープンイノベーション推進室 室長
エンターテインメント開発事業本部 デジタルエンターテインメント事業部 事業部長 田中 翔太氏

ーまず、イノベーション戦略統括部のオープンイノベーション推進室について、組織の概要をお聞かせください。

 

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