NFTブームに沸き立った2020年から2021年にかけて、数え切れぬほどのNFTプロジェクトが乱立する。どのプロジェクトも軒並みに取引価格の高騰が続き注目されたため、世界中の人々がNFT市場に新たに参入した。しかしブームの終焉と共に、多くのNFTは価値を失った。ほとんどのNFTに実用性が備わっていなかったからだ。NFTにおける冬の時代を迎えた現在、あらためてNFTの実用的な価値が問われている。
こうした中で、人々が保有するNFTを活用し新たなマーケティング手法の確立に挑戦する企業がある。NFTの配布サービスを提供するSUSHI TOP MARKETING株式会社(東京都千代田区)だ。同社が提唱する「トークングラフマーケティング」は、従来にはなかった新しい概念である。
SUSHI TOP MARKETING株式会社が提供するサービスでは、NFTに馴染みのない一般人でも簡単にNFTを入手できる。実際に、京都タワーや銀座和光などの名所でNFTの配布キャンペーンが行われ、数千名を超える人がNFTを手にした。
今回は、NFTを活用したマーケティング手法について、同社のCEO 徳永 大輔氏に聞いた。
SUSHI TOP MARKETING株式会社 CEO 徳永 大輔氏
ーまず、SUSHI TOP MARKETINGの事業内容について、お聞かせください。
徳永氏:SUSHI TOP MARKETINGは、NFTの配布技術を提供する企業です。
昨今のNFT業界で台頭したスタートアップは、単純にNFTを高額販売するプロジェクトやNFTの取引所が主でした。これに対してSUSHI TOP MARKETINGでは、「NFTを配布する技術」を軸に起業しました。
ー創業に至るまでの徳永様の経歴について、お聞かせください。
徳永氏:学生時代からIT分野に興味を持っており、iPhoneアプリの作成も経験しました。仮想通貨に出会ったのも学生の頃です。卒業後は出版社に就職し、広告営業の運営に携わりました。私が就職した2014年前後はWebメディアの全盛期だったため、比較的すぐにウェブメディアを運営する個人事業主として独立しました。その後も副業でインプレスグループの編プロで働き、仮想通貨のビジネス書のプロデュースなどを経験してから、ウェブメディアで起業して事業譲渡を経て、SUSHI TOP MARKETINGの創業に至りました。
ーSUSHI TOP MARKETINGにおいて、徳永様が特に注力している分野をお聞かせください。
徳永氏:スタートアップ企業のCEOの役割は、「外部リソースの調達」が本質的だと考えています。創業直後は資金調達を中心に取り組んでいましたが、現在では技術や人材リソースの確保に注力しています。私はビジネス構築やオペレーションの最適化など、事業戦略の立案が得意です。そのため描いた青写真のなかで、自社に不足しているリソースの確保に向けて活動しています。
ー何をきっかけとして、SUSHI TOP MARKETINGを創業したのでしょうか。
徳永氏:寿司屋におけるNFT配布キャンペーンをきっかけに、創業を決意しました。2020年から2021年にかけて、仮想通貨の世界ではDeFi(※1)ブームが到来しました。そのDeFiの筆頭が、「Sushi Swap(スシスワップ)」です。当時、DeFiに精通していた投資家は誰しもが「SUSHIトークン(※2)」を所有していました。
偶然にもその頃、私の知り合いに渋谷で寿司屋を開業する友人がいました。そこでビットコイン・ピザ・デー(※3)と同じ発想で、SUSHIトークンを決済手段としてお寿司を食べるイベントの着想を得ます。加えてイベントの来場者に対して、寿司を題材にしたNFT画像「SUSHI TOP SHOT」を配布しました。寿司屋でのイベントはミーム好きな投資家たちにも好評で、Web3の著名人からも大きな注目を集めました。このように寿司屋でのイベントを通じて、新たなNFTマーケティングの手法を思い付いたのです。
※1 DeFi・・・分散型金融の意。特定の管理者が存在しない金融ネットワークを指す。
※2 SUSHIトークン・・・Sushi Swapの経済圏で流通するトークン。
※3 ビットコイン・ピザ・デー・・・Web3界における慣習のひとつ。毎年5月22日に、仮想通貨の愛好家がピザを持ち寄り交流する。2010年5月22日に、ビットコインでピザを購入する世界初の商取引が行われた事実に由来する。
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